とある女の自業得 借金ナース 暗黒ガール日記 いずみちゃんが飛んでしまった。 私にとっては店で唯一、気を置かずに話せる存在であった。 美人でスタイルもよくどこかに奥ゆかしさも感じさせるような 同性から見ても魅力的な女の子。 一体どうしてこんな格安店に流れ着いてしまったのか。 そんな事情にもいつかは触れてみたいと思っていたが、 とうとうその機会は訪れぬままだった。 お互いの好きなドラマのことやダイエットの進捗具合など 他愛のない話で盛り上がったり、 時には客から性病を染された愚痴をこぼしあったり。 コミュ障な私でもどういうわけか いずみちゃんの前では気構えたり取り繕うことなく自然体で話しができた。 そんな居心地の良い雰囲気は、きっと客の前でも発せられていたのだろう。 いずみちゃんがお茶を引くことはめったになかった。 直引きの誘いに乗ったことがオーナーにバレたらしい。 新しい店を持たせてあげるからと、常連客から好条件を持ち掛けられたのだと。 そんな話を、風の噂で聞いた。 いずみちゃんには羽振りの良さそうな太客が何人かいたはずだから 十分満足のいく稼ぎはあったはずなのに。 やはりよっぽど大金を得なければならない理由があったのだろうか。